バリ絵画の世界

すべての物事はつながっている

バリ島の歴史
バリでは、呪術的なことが日常で行われている。科学では証明しようのない力の働きを読み取ったり、使ったりする。これらの力を使う人は、バリアン、またはドゥクンと呼ばれる。絵画では、バトゥアンスタイルにその精神世界がよく描かれている。

バリの呪術は、大きくブラックマジックとホワイトマジックに分けられる。ブラックマジックは、人に呪いをかけたり、災いをもたらすための呪術である。ホワイトマジックは、呪いにかかった精神や肉体を正常な状態にさせるためにある。病気の治療や、お産で子供を取り上げたりすることもバリアンの仕事のひとつである。

バリ人は病気になったときや、事業が上手くいかないときなど、お供えを持ってバリアンを訪れる。お供えはあひるや米などである。バリアンはマントラをとなえて、霊の形でそのものの家と祖霊の状態をみて、祈祷や治療の方法を決めるという。まずは、呪いにかけられていないか確かめ、それから治療に専念する。

バリではこうした呪術の力が、社会のなかで大きな意味をもつ。仕事や結婚、人間関係などさまざまに関わってくる。
呪術の内容などは古くからのロンタル(古文書)にしるされている。たとえば、「戦いのときに、身体を守る方法」「敵を呼び寄せ、混乱させる」「雨を降らす」などがある。ほかに、ヒンドゥー教の教義やマントラの唱え方、伝説、魔術に関することなど多岐にわたる。