2004年06月08日

本を読む機械

本を読む機械。
a machine that read books
ってところでしょうか? (間違ってる予感ヒシヒシです)
面白い言葉の響きだったので、書いてみましたが、
実際に書きたいのは、最近、本を読む機会が多いということです。

最近あまりにも貧乏で、
家計的にガソリンを入れることも、遊びに行くことも苦しいため、
自宅で過ごすことが多くなっています。
「自宅で過ごす=たくさんの時間ができる」
という等式が成り立つため、その時間をどう使うかと悩んでみて、
導き出される結果は、

  1. 寝る

  2. 本を読む

  3. 音楽を聴く

というところでしょう。
そういうわけで、また一冊本を読み終えました。
読んだ本は「火車 (かしゃ)」 (著: 宮部みゆき) です。

宮部みゆき の作品について私が持つ印象はこんな感じです。
(火車だけではなく、全般的にって言うことです)

  • 表現の記述が冗長

  • 展開の盛り上がりに欠ける

  • 現実的に無理な展開がない

  • きれいにまとまっている

これから導かれる感触はこんな感じ。

  • 安定した品質を提供し、読者 (の知性) に期待をしない書き方

  • プロ (フェッショナル)

なので、もっと爆発的なエネルギーが好きな私は
作品自体は「まぁまぁ」だと言う感想を持っています。
(あくまで私の感想です)
ただし、もっと細かく見る場合、宮部みゆきの著作には、
すばらしいものが存在します。
それはステキな表現です。
1冊の本という作品の中に、表現という作品が入っているんです。
ここでは読み終わったばかりの「火車」から一番ステキな表現を引用しようと思います。
( P415 からの文書です。改行位置だけ変更しました。 )

「いつか、亭主が言ってたことがあった。うまいこと言うなあと思ったわ。
あのね、蛇が脱皮するの、どうしてだか知ってます?」
「脱皮って言うのは ───── 」
「皮を脱いで行くでしょ?あれ、命がけなんですってね。
すごいエネルギーが要るんでしょう。それでも、そんあことやってる。
どうしてだかわかります?」
本間より先に、保が答えた。「成長するためじゃないですか」
富美恵は笑った。「いいえ、一所懸命、何度も何度も脱皮しているうちに、
いつかは足が生えてくるって信じてるからなんですってさ。今度こそ、今度こそ、ってね」
べつにいいじゃないのね、足なんか生えてこなくても。蛇なんだからさ。
立派に蛇なんだから。富美恵はつぶやいた。
「だけど、蛇は思ってるの。足があるほうがいい。足があるほうが幸せだって。
そこまでが、あたしの亭主のご高説。で、そこから先はあたしの説なんだけど、
この世の中には、足は欲しいけど脱皮に疲れてしまったり、怠け者だったり、
脱皮の仕方を知らない蛇は、いっぱいいるわけよ。
そういう蛇に、足があるように映る鏡を売りつける賢い蛇もいるというわけ。
そして、借金してもその鏡が欲しいとおもう蛇もいるんですよ」

ここだけ単体で読んでも、面白いと思いますが、
本作品の中で読むとさらに納得です。
宮部みゆきの作品は、きらめくような表現が入っているので気が抜けません。
皆さんもぜひ読んでみてください。
ステキな表現がちりばめられていて、結構お薦めです。

Posted by k-square : 2004年06月08日 21:23 | Private
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