バリ絵画の世界

バリ島の歴史
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2005年7月12日(火)
子供たちと一緒に

フェスティバル開催中というもの、いつもいつもアンガールダナと一緒にいた。お昼も一緒に食べ、踊りも一緒に見た。他の子供達も一緒になってわらわらと会場を歩いていたので、他のバリ人には大注目されてしまった。日本人とバリの売り子たちが一緒になって売り歩いていて、けれど、みんな珍しがって声をかけてくるのでいろんな人たちと出会い、話をすることができた。インドネシア語も約1年半、独学とはいえほぼ毎日勉強していたので日常会話であればかなり不自由なかった。それに、子供達からたくさん言葉を教えてもらったのだ。私も、あいさつはもちろん、「てんぷら」だの「かぼちゃ」だの食べ物の言葉をいろいろ教えた。子供達はなかでも「じゃがいも」の発音が気に入ったらしく、「ジャガイモッ!」と力んで言ってはしゃいでいた。毎日、子供たちと一緒に似顔絵を描きながら、舞台を見ながら、会場内を放浪した。写真もよく撮った。みんな写真を撮られるのが大好きで、どこにいっても「カメラ、カメラ!」とせがまれ撮らされた。一度、子供たちが私のカメラを持って行って撮影しあっていたとき、近くにいたおじさんがびっくりして、私に「カメラ取られちゃうよ!子供だからすぐ取るよ!」と声をかけてくれた時があった。私は、取られるなんてことを考えつきもしなかったので、それほど仲良くなっていたのだなあと思ったものだ。逆に、普段子供たちは、私が物を取られないように心配して声をかけてくれさえするのだ。バッグが開いていると、すかさず閉めてくれるというような気の効きようなのだ。本当に助けられていたといってもいい。あるとき、怪しげなおじさんが声をかけてきたことがあった。アンガールダナと一緒だったのだが、こそっと耳元で「目をあわせちゃいけないよ!」と忠告してくれた。同年代くらいの男の人にビジネス取引きをしようと持ちかけられ、私が困っていたときにも、「彼女は今から出かける用事があるからすみません!」と言ってくれ、無事に逃れることができた。信頼関係がいつのまにか築かれていた。

会場内にはおみやげやさんやら、果物やお菓子、ジュース、かき氷といった屋台がたくさん出ていて私はよく子供たちを連れて行き好きな物を買ってあげたりしていた。普段は子供たちの売り物をもらってばかりいるので、こういうところでお返ししていたのだ。屋台ではバナナやマンゴーの天ぷらやら、ポップアイスだのをよく買って食べていた。なかでも美味しくてはまったのは、アイスジュースだ。これはいろんな味があってイチゴやココアやメロンやブドウなど、袋にジュースの素になる粉が入っているのだが、これをお店の人が氷と一緒にミキサーにかけてくれる。冷たくて甘くておいしい。子供たちも大好きでよくねだられた。熱い日差しを浴びながら、冷たくて甘いジュースを飲むのがたまらなくいい。屋台と混じって、特設の小さな遊園地もある。馬が小さくでがたがたで円周も直径3メートルくらいの小さなメリーゴーランドと観覧車、ゴーカートがある。子供達が乗りたがって、毎日行くのだけれどフェスティバル開催から1週間たっても動いている日を見たことがなかった。それがフェスティバルも後半、メリーゴーランドが動きはじめたもんだから売り子の12才の女の子とアンガールダナと彼にいつもくっついて歩いている5才のやんちゃざかりのコマンくんとで早速乗りに行くことになった。けれどどう見ても馬は子供向けで大人が乗ったら壊れてしまいそうな大きさだ。「私が写真とってあげるから乗ってきなさい」というのに、アンガールダナがカメラを奪ってしまい、無理矢理メリーゴーランドに乗せられてしまった。は、恥ずかしい。乗っていると周りにバリ人の人だかりができてしまった。メリーゴーランドは次のお客が乗るまでぐるぐる回り続け、降りられやしない。いったん止まって降りようとすると、「まだ乗ろうよ!」と乗らされる。いったい何十周したんだろうと思っていると係りの人に「もう降りてください」と言われてしまった。まったく恥ずかしいやら申し訳ないやら。「すみません。」といいながらメリーゴーランドを降りたのだった。野次馬バリ人がくすくす笑っている。まったく子供達のパワーにはかなわない。

小さな子供達だけでなく、おみやげやさんの売り子の女の子たちとも会場内をあちこち歩き回った。17才前後の子たちできれいにお化粧して正装して華やかな子たちと、これまた似顔絵を描いて仲良くなってカメラを持っていろんなところで撮影会をした。そのなかに踊り子さんがいて普段、レゴンダンスという女だけの華やかな踊りの舞台にたっているという。見に行きたかったのだが、とうとうそのチャンスには恵まれず。けれど日本に帰ってからも手紙のやりとりをしている。笑顔がチャーミングで日本語もちょっと話せるすてきな女の子だ。バリの女の子は17才くらいでもとても大人びていて結婚も早いので同い年の子でも3つくらいは年上に見えてしまう。そんな子たちに囲まれていると私もしっかりしなくてはと思う。