バリ絵画の世界

バリ島の歴史
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2005年7月20日(水)
白魔術師さんとの出会い

2日目の夜はワヤンに白魔術師さんがいるお寺にお参りに誘われ、Sと一緒に行くことになった。おそなえのために、生きたあひるを数羽とお米と果物を用意する。あひるを売っているお店で店員がグエグエ鳴くあひるたちのなかから数羽を足をぐいっとつかんでさかさまにして持ってきた。お金を払ってそれを車に乗っける。そのままお寺へ行くと、すでに数名の村人たちが集まっていてお寺の敷地の地面に敷かれたござのうえに座っていた。ここには病気の人や悩みのある人たちが集まっていて、白魔術師さんにお清めしてもらっているのだ。ワヤンも妹のコマンちゃんも清めてもらうようだ。順番があって、呼ばれると魔術師さんがいる場所に行き、悩みや悪いところを聞いてもらいなおしてもらう。

私とSはみなが見て貰ったあと、手相と生年月日による診断をしてもらった。あとは呪いがかけられていないかどうかも見てもらった。魔術師さんは私の手を握るなり「まあ!あなたはパワーがあるわね」とひとこと。ちょっとびっくりしていると、「1ヶ月くらい修行すれば私みたいになれるわよ」ひええ!それはとんでもない、白魔術師になれるということなのか。「日本にもそういう人っているのかしら?ヒーラーになって日本で活動したらいいわ」「ええ?」いきなりのことにはたまた私はビックリする。「いますぐでなくてもいいから、もし白魔術師になりたいと思ったらいつでも私のとこにきなさい」そういって、連絡先まで教えていただいた。そうして他にも健康運だとか出世運だとかいろいろ見てもらった。「あなたは経営者にも向いているわ」はあ。「お金はたくさん貯まるけどすぐなくなるわね」それはいいのか悪いのか。いろいろと言われつつ、当たっているところもあれば首をかしげるようなところもあって、でも白魔術師と会ってお話できただけでも貴重なことだった。バリには病院があるけれど、まだまだ田舎では普及していなくて白魔術師に病の治療を頼っている。赤ん坊をとりあげるのも白魔術師の役目だ。しかし、雨を降らしたりできるというのは本当だろうか。私も修行すればできるようになるんだろうか(笑)。そんなことを考えつつ、神秘的で印象的な夜が過ぎた。

2005年7月19日(火)
ウブド村へ

そうして、ワヤンの運転でまたウブドへ移動した。昨年1ヶ月滞在していた場所でもあり、懐かしさがこみあげてくる。とくに景色もお店もかわっていないようで、雑多だけれど緑がきれいな田んぼがひろがり、ギャラリーがひしめく村がそのままあった。Sが一度滞在しておすすめという宿に泊まることになった。英語が上手な美人さん姉妹がいるレストハウス。タイルもピンク色とかわいい。私たちは2階の見晴らしのいい部屋に泊まることにした。風通しもよくて昼寝にはもってこいだ。到着すると、すてきなハウスのお姉さんが紅茶とパンケーキを出してくれた。バターたっぷりでうまいことこの上ない。すっかりご満悦になった。しばし、語らった後、ウブドを散策しに出かけた。舗装されていない道もそのまんま。ギャラリーも変わってないなあと歩いているとどこからともなく「○○○!」という呼び声。きょろきょろしていると目の前に昨年仲良くなった友達がいた。覚えていてくれたとはびっくり、でもとても嬉しい。民芸品屋を営み、自身も木彫りや石彫刻をする青年だ。今年からは劇場のチケット売りもはじめたらしく、チケットを売っていた。元気そうでなによりだが頭痛がひどいという。「薬は飲んでるの?」私が尋ねると「薬は飲まないよ。だって体に悪いからね」「私もときどき頭が痛くなるんだよね」そう言うと「薬はあんまり飲まないほうがいいよ。それよりも体動かして、スポーツして笑顔でいることが大切!」と。ついつい仕事をしているとちょっと体調を崩すと薬を飲んでしまったりするのだが、本当は自然であることが体にもいいんだよねえとあらためて実感させられる。バリの人はそこのところをよくわかっているのかもしれない。薬も漢方で自然のものをみなよく飲んでいるし。それでも辛いときはやっぱり医者にかかるようだが。

偶然の感動的な再会があり、またウブドに還ってきたのだという思いがした。晩御飯は近くのカフェで野菜炒めを食べる。こじんまりとした小さなお店だったがとてもくつろげた。こののんびりした雰囲気が大好きだ。ウブドには外国人がたくさんやってくる大きなレストランもあるけれど、バリ人もよく訪れる村の家庭的なカフェも多い。たいてい親切にもてなしてもらえる。